企業型DCが中小企業の人材確保に活用されている理由
「求人を出しても応募が集まらない」
「やっと採れたと思ったら、数年で辞めてしまう」
中小企業の経営者・人事担当者の方とお話ししていると、こうした声は本当によく出てきます。
もちろん給与は大事です。
ただ、現場の感覚として「給与だけ上げれば勝てる」ほど単純でもない。ここが悩ましいところだと思います。
最近は、若手〜中堅層ほど“将来の安心”を気にします。
給与明細に載る金額だけでなく、この会社で働き続けたときの見通しまで見ている。そんな印象です。
そこで、あらためて見直し対象になっているのが「退職金制度」や「資産形成支援」です。
選択肢の一つとして、企業型確定拠出年金(企業型DC)があります。
採用難を突破する鍵は「退職金制度の再構築」にある
中途採用の面接で、求職者が見ているのは年収だけではありません。
- 退職金はあるのか
- 将来に向けた制度があるのか
- 福利厚生に“中身”があるのか
このあたりが、企業比較の材料になっています。
企業型DCは、確定拠出年金法に基づく企業年金制度です。
会社が掛金を拠出し、従業員が自分で運用して将来の資産を準備する仕組みです。
「退職金制度を整える余裕はない」と感じる会社でも、設計次第で導入しやすい理由があります。
掛金額をあらかじめ設定しやすく、制度の枠組みの中で運用していけるからです。
なぜ企業型DCが“選ばれる理由”になり得るのか
採用と定着に効いてくるポイントは、大きく3つあります。
1)税制上の配慮がある制度設計(ただし前提つき)
企業型DCの事業主掛金は、法定限度額の範囲内で損金算入が可能です。
また拠出時点では、原則として給与課税の対象になりません。運用益も非課税で再投資されます。
言い換えると、「給与で渡す」以外の形で将来の備えを支援できる、ということです。
※なお、制度設計によっては標準報酬月額に影響が生じる可能性があります。社会保険料や将来給付への影響も含め、事前にシミュレーションしたうえで判断するのが安全です。
2)「この会社は将来も見ている」という安心感
制度の有無は、金額以上に“メッセージ”になります。
会社が「将来の備え」を仕組みとして用意している。
これだけで、従業員の受け取り方は変わります。
給与は生活のため。
でも福利厚生は、「ここで働き続ける理由」になりやすい。
採用だけでなく、定着にもじわっと効いてくるのはこの部分です。
3)資産を持ち運べる(ポータビリティ)
企業型DCで積み立てた資産は、転職時に他制度や個人型(iDeCo)へ移換できる仕組みがあります。
「転職しない前提」の制度より、いまの時代には合う。
そう感じる求職者が一定数いるのも自然な流れです。
活用事例:制度を“導入する”だけで終わらせない
ある製造業(従業員30名規模)では、大手との福利厚生差が背景にあり、内定辞退が課題になっていました。
そこで、既存の給与体系を活かしながら、企業型DCを軸に退職金制度を整備。
ポイントは「制度を入れること」よりも、採用の場で伝えられる状態にしたことでした。
- 求人票に「確定拠出年金制度あり」と明記
- 面接時に“将来の積立イメージ”を説明できるように準備
- 若手層の不安(老後・資産形成)に対して話せる材料を用意
結果として、応募者の反応や質問内容が変わり、採用面での差別化につながったケースがあります (効果は制度設計や従業員構成等により異なります)。
制度は、入れて終わりではありません。
「どう見せるか」で価値が変わる。ここが実務の肝です。
導入前に押さえておきたいこと(現実の話)
企業型DCはメリットがある一方、準備も必要です。
- 規程の整備(就業規則・賃金規程の改定など)
- 投資教育(事業主の努力義務)
- 手数料などの運営コスト
- 原則60歳まで引き出せない(流動性の制限)
「良い制度」かどうかではなく、自社に合う設計かどうか。
ここを最初に見誤らないことが重要です。
まとめ:給与以外で“選ばれる理由”をつくる
採用で勝つために必要なのは、「給与」だけではありません。
- 将来の備えがある
- 制度として支えている
- 会社が長期目線を持っている
この“+α”が、採用・定着の強い材料になります。
企業型DCは、そのための選択肢の一つです。
ただし最適解は企業ごとに違います。
だからこそ、まずは自社条件で数字を整理してから判断するのが合理的です。
セミナー「採用に活かす“新しい退職金”とは」のご案内
本セミナーでは、
- 企業型DCの制度概要(押さえるべきポイント)
- 採用での見せ方・伝え方
- コストと効果の整理(シミュレーションの考え方)
- 導入時の実務フロー
- 制度設計で起きやすい“つまずき”
を、中小企業向けにわかりやすく整理して解説します。
制度導入を前提とした説明会ではありません。
「自社でやるべきか、やるならどう設計すべきか」を判断する材料を持ち帰る場としてご活用ください。
◆セミナー開催概要
テーマ:採用に活かす“新しい退職金”とは?
会 場:オンライン(Zoom)
参加費:無料
日 時:2026/03/13(金)15:00〜16:00
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