「待遇は悪くないはずなのに応募が少ない」
「福利厚生を整えているのに、なぜか魅力として伝わらない」

採用についてお話を伺う機会に、同じポイントで悩まれている企業が想像以上に多いことに気づかされます。

制度そのものが悪いというより、どちらかといえば“伝え方”の差が採用結果にそのまま表れているケースが目立ちます。求職者は、求人票の数行や面接のひと言から「この会社で働き続けた未来」を慎重に汲み取っています。

福利厚生をどう“見える言葉”にして示すか。
その工夫が、採用力を大きく左右します。

 

求職者が確かめているのは「自分の未来が守られる会社かどうか」

企業の方から若手の反応について伺う機会が多いのですが、給与の額面よりも「将来の安心」を重視する傾向ははっきり感じられます。
マイナビの調査でも学生の6割以上が「給与と同じ、あるいはそれ以上に福利厚生を重視する」と回答しています。

採用に関するご相談を伺う中で、特に20代の候補者は“将来が見える制度”に敏感だという話を聞くことが多くあります。時代的にも、終身雇用を前提とした働き方は成り立ちにくくなっています。
だからこそ求職者は、「この会社で働いて、自分の未来はどうなるのか?」を企業選びの軸に据えています。

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、こうした“未来への安心”を具体的に示しやすい制度です。ただ、導入しているだけでは伝わりきりません。求職者が一瞬で価値を理解できる言葉へ変換する必要があります。

 

“書き方”を変えるだけで応募率が動くことがある

実際の求人票では、次のような表現がよく見られます。

【悪い例】
退職金制度あり
福利厚生あり

このような記載だと、何が良いのかが求職者には伝わりません。

一方、書き方を少し変えるだけで反応が変化します。

【良い例】
企業型確定拠出年金(企業型DC)導入
└ 会社が毎月掛金を負担し、長期的な資産形成を支援
└ 転職時も資産を持ち運べるため、生涯を通じた安心につながる制度

この表現に切り替えた企業からは、「求人サイトでの質問内容が変わった」という声が実際に寄せられています。
「制度があります」から「どう役に立つのか」という具体的な話題に移るため、応募者との対話が前向きになりやすくなるのだと思います。

 

面接では「制度名」ではなく「会社の姿勢」を伝える

面接の場でも、制度の伝え方は採用に大きく影響します。

【一般的な説明】
「退職金制度があります」

【伝わる説明】
「当社では、社員の10年後・20年後の生活基盤を整えるために、会社負担で資産形成ができる企業型DCを導入しています。長く働くほど安心が積み上がる仕組みです」

面接時のやり取りについて伺うと、制度の背景にふれたあたりで候補者の反応が変わる、という声をよく耳にします。
“制度を入れた理由”が伝わるだけで、会社の姿勢が自然と伝わり、安心感につながるからです。

 

中小企業ほど、見せ方が競争力になる

大企業にはブランドがありますが、中小企業は制度の伝え方そのものが武器になります。
特に企業型DCは、小規模中小企業での導入がまだ多くありません。だからこそ、先に導入している企業は採用で優位に立ちやすい立場にあります。

実際、企業型DCの導入企業は年々増え、2023年には47,138事業所と前年比約5,000件増加しています。制度が広がりつつある今だからこそ、早く取り入れた企業ほど採用で一歩先を行きやすい状況にあります。

ただし現場では、制度自体を持っていながら、その価値を十分に伝えきれていない企業も多いと感じます。
“見せ方”の工夫が、そのまま採用成果に反映されるところです。

 

まとめ

福利厚生は、制度の内容だけでなく“どのように伝えるか”によって、求職者の受け取り方が大きく変わることがあります。
価値がひと目で分かる表現に整えるだけで、「ここなら将来を任せられそうだ」という印象につながり、結果的に応募の反応や定着にも良い影響が出やすくなるようです。

次回は、実際に企業から寄せられた声をもとに、応募数が増えた事例で使われていた「伝え方の工夫」をご紹介します。

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